人間のやり取りの大半は、言葉や文章だ。
現代では、電話やメール、チャットなどで、自分の考えを伝えたり、意見を交換したりする。
ビジネスの世界でも同様に、日々、会話や文字で議論をかわす。
しかし、自分の想いや意見を相手に伝えることは、意外と難しい。
言葉や文章の9割は相手に伝わっていないという意見もあるくらいだ。
今回の記事では、ビジネスで相手に自分の思いや意見を伝えるコツをまとめる。
- 認知革命とは
- 伝え方のコツとは?
- 伝わる文章を書くのにオススメの本:1選
認知革命:「サピエンス全史」より
そもそも言葉や文字がないとどうなるかを、認知革命から学んでみる。
▶︎言葉や文章で何かを伝えることはとても大切◀︎
250万年前にヒトの祖先が誕生し、7万年前に認知革命が起こった。
言語の発達がない200万年間、ヒトはほぼ進化しなかった。
日本企業の人間は、偉くなるほどメールや指示がわかりにくくなる傾向があるように思う。
これは退化なのかも。
— じゅうぞう@サラリーマン工学 (@Juzo1226) July 31, 2018
言葉や文字がなかった200万年間、人類の祖先はまったく進歩をしなかった。
言葉や文字が現れてから、たった7万年で現代のような社会に変化していった。
言葉や文字で伝えるという力は、人類の根本をなすものである。
言葉や文字のもっとも大切な点
言葉や文字がない時代は、音のリズムや大きさで物事を伝えていた。
例えば、ペットの犬は、飼い主が近寄ると愛らしい声で鳴くが、不審者が近づくと大声で吠える。
このように直接的に伝えることは動物でも簡単にできる。
しかし、ペットの犬は「隣町でクマが出没しているらしい」といった情報は伝えることができない。
クマが目の前に現れて、初めて吠え出す。
つまり、言葉や文字のもっとも大切な点は、「見たことがないもの」を伝えられるという点になる。
言葉や文字を使うことで、企業の会議で生産設備の話題になったときに、会議室だけで議論ができる。
みんなでわざわざ、その設備を見に行く必要はない。
「見ないとわからない」は言葉や文字を使いこなせていない
伝える方が悪いのか、聞く方が悪いのかはわからないが、「見ないとわからない」という言葉をよく聞く。
これは、言葉と文字をうまく使いこなさせていないだけだ。
人々は、存在しない神や悪魔の存在を言葉や文字で遥か昔から伝えてきた。
我々は、神や悪魔のような存在しないものを、はっきりと想像することができる。
「見ないとわからない」という言葉を使うようなら、動物と同じだ。
存在しない神や悪魔を伝えられるのなら、伝え方さえ間違えなければ、なんでも伝えることはできるはずである。
言葉や文字は、人類最大の武器である。
言葉や文字で伝えることを放棄してしまっては、動物達と同じレベルになってしまう。
どんなものでも、言葉や文字があれば、伝えることは可能だと思っていて欲しい。
そうはいっても、言葉や文字で伝えることは意外と難しい。
次の項では、ビジネスを行う上で言葉や文字で正確に伝えるコツを説明する。
言葉や文字は、人類最大の武器
背景と目的:伝え方のコツ
ビジネス上で何かを伝えるコツは、背景と目的を明確にすることである。
特に背景が大事である。
わかりにくい人のメールは、目的しか書いていないことが多い。
メールを送る立場からすると、そのメールを送る背景がわかっていて当然である。
しかし、受け取る方の立場からすると、背景がわからない場合が多い。
その場合、目的だけのメールを送っても、送信者の意図は100%伝わることはないだろう。
そこで、メールを送る背景を詳細に書くことで、目的がより伝わるようになる。
例えば、Twitterのアイコンを頼む場合は以下のようになる。
【目的】30代サラリーマンをターゲットにした場合の男性アイコンを作ってください。
【背景】Webライティングに特化したサイトを運営しています。ターゲットは、30代サラリーマンの男性になり、既婚者、子供がいる方を対象としています。
【目的】そこで、Twitterのアイコンの作成をお願いします。30代前半、男性、スーツ、パッと見でライティングがイメージできるキャラクターにしてください。
このように、背景を伝える場合と伝えない場合では、相手への伝わり方はまったく異なる。
逆にいえば、背景をしっかり伝えさえすれば、場合によっては目的がなくても伝わるかもしれない。
それほど、背景を詳細に書くことは大切でなる。
伝え方のコツは、とにかく背景を詳細に伝えること
繰り返し伝える:伝え方のコツ
人に何かを伝える場合、繰り返し伝えることは非常に大切だ。
「一度、伝えたから」
こんな言葉をよく聞くが、一度だけしか伝えないと、意図が全然伝わっていない場合がある。
本当に伝えたいという気持ちがあるのであれば、何回も伝えることは大切だ。
確かに、何度も伝えるのはめんどくさいが、自分のためにも何回も伝える必要がある。
ここでヘルマン・エビングハウスの忘却曲線を示す。

横軸は日数になるが、人は1日経つと60%近く忘れてしまう。
勉強をする場合も、一回じっくり教科書を読むより、早く何回も読む方が、頭の中に記憶することができる。
人に伝える場合も同様に、繰り返し伝えることで、相手に自分の意図を記憶させる。
本気で何かを伝えたい場合は、「一度、伝えたから」と言わずに、何回もその話をすることが重要である。
繰り返し伝えることで、記憶に定着する
文章を書くことの大切さ:伝わる文章を書くのにオススメの本
小学校や中学校、高校、大学など教育を受けてきたと思うが、文章の書き方という授業は受けたことはないと思う。
少なくとも私はなかった。
夏休みの宿題で読書感想文など、文章を書かされたことはあったが、書き方を教えられたことはなかった。
大学の研究室に入り、論文を書くようになり、本格的に文章の構成などを学んだが、それまでは思うがままに文章を書いていた。
しかし、文章を書くことにもコツはある。
ここでは、文章を書く上で、これだけ読めば間違いないという本を一冊紹介する。
私は大人になってからこの本を読んだが、もっと若いうちの読んでおけばよかったと思った本である。
ビジネスメールを書く上でも、ブログを書く上でも、何かを書く場合、この本は絶対に役に立つ。
学校では文章を書く授業はない。そのため、文章力は自分で身に着ける必要がある
さいごに:伝わらない相手
伝え方のコツを書いたが、それでも伝わらない相手がいることがある。
その人に対して、「あいつはダメだ」とか「使えない」とか、周りが愚痴を言い出す。
しかし、私の経験から行くと、そんな人でも何回も話せば、なんとか伝えることができる。
思い込みが激しい人でも人は人だ。
何回も伝えて、刷り込んでいけば、しっかりと伝えることができる。
ただ、コスパが合わないのも事実だ。
伝わらない人を避けることができるなら、避けた方が良い。
しかし、伝わらない相手を避けることができない場合は、とにかく繰り返し伝えることを心がけると良い。