確定拠出年金や投資信託を調べていると、”利回り”や”複利”といった言葉をよく目にすると思います。
では、”利回り”や”複利”の効果を具体的に計算することはできますか?
感覚的に” 利回りの高い商品が良い ” ということはわかると思いますが、“実際に計算で検証してみて”と言われると意外とできないものです。
確定拠出年金や投資信託を始める場合、利回りの検証はとても重要です。
この記事では、Excelを使って”利回り”や”複利”についてわかりやすく説明していきたいと思います。
関連記事:確定拠出年金の商品選びのポイントは、”手数料”と”分散”だけ
関連記事 : 投資は騙されてからが始まり:奪い合い・欺瞞に満ちた資本主義の世界
- 複利効果って何?
- 確定拠出年金の運用実績を紹介
- Excelの便利な関数:FV関数!
- 複利効果を実感しよう!
- 自分で複利効果を計算できるようになろう!
- 確定拠出年金の商品の選び方
利回りを計算:確定拠出年金や投資信託の複利効果って何?
複利効果は、運用で得た利息をそのまま投資に回し、利息がさらに利息を生むことを言います。
あのアインシュタインが「複利は人類の最大の発明」と言ったことも有名な逸話の1つです。
言葉では理解しにくいと思いますので、具体例を使って説明したいと思います。
次の図では、1年間に10万円を投資に回し、運用利回りが10%の場合の複利効果を示します。

この図から、運用2年目は、元金20万円に対して利息が1万円。
運用3年目には、元金30万円に対して、利息が2.1万となっていることがわかります。
2万円ではなく2.1万円になっていることが複利効果の重要なポイントです。
わずかな差のように見えますが、何十年も積み重なると、これがとんでもない差になるんです。
確定拠出年金の運用結果をご紹介
私の確定拠出年金の実績をご紹介します。

関連記事:私の確定拠出年金(企業型)の実績を公開。
毎月の掛け金が3,000円で、8年ほど運用した結果になります。
私の場合、会社の規定で掛け金は3,000円が限界です。
この掛け金3,000円を ” すべてタンス貯金(利回り0%)にまわした場合 ” と ” 実績利回り(10.52%)で30年間運用し続けた場合 ” では、どの程度の差になるでしょう?
こちらが計算結果です。

毎月3,000円をタンス貯金(利回り0%)した場合、30年間で108万円。
一方、毎月3,000円を利回り10.52%で運用した場合、30年間で約650万円になります。
毎月3,000円のわずかな掛け金でも、30年間の運用でこれだけ変わるんです。
ここで、650万円を月換算してみるとどうなるでしょうか。
30年 x 12カ月 = 360カ月になり、650万÷360カ月 = 1.8万円です。
利益を月に換算すると、3,000円が18,000円に増えてるという計算になります。
つまり掛け金が6倍になっているということになり、複利効果のすごさがよくわかると思います。
もし、これが利益でなく借金の場合、高い金利の借金で雪だるま式に増えていくというわけです。
ゆうびん貯金の金利ではどのような差になる?
それでは、もう1つ複利効果の例として、毎月3,000円を郵便貯金に回したらどうなるかを見てみましょう?
現在のゆうちょ銀行の金利は0.001%です。※2018年4月時点
関連記事:ゆうちょ銀行の金利推移:親世代と同じ人生は歩んではいけない理由
一方、昭和40年頃のゆうちょ銀行の金利は約4%程度です。
当時の金利と現在の金利で30年間運用した結果を比較します。

現在の金利で運用した場合、30年間の利息はわずか157円です。
一方、昭和40年頃の金利4%で運用した場合、30年間の利息は100万円になります。
このことから、昭和40年頃に生きていれば貯金だけで十分なんですよね。
それでは、参考に私が奥さんから毎月貯金しろと言われている60,000円で運用した場合を比較してみましょう。

30年頑張って貯金しても、銀行利回りでは利息は3,231円です。
このことから、現状では銀行にお金を預ける意味がないことがわかります。
一方、昭和40年頃の金利4%で運用した場合、利息は約2000万円です。
とてつもない差ですね。
このように、複利効果は運用期間が長ければ長いほど効果が大きくなります。
金利4%の頃の親世代であれば、貯金がそのまま投資と同じ意味を成しましたが、現在では銀行預金に同じ効果は期待できません。
そのため、一部のお金を貯金以外の投資に回す必要があるわけです。
関連記事:30代の平均貯金額
長期の運用では、複利効果が絶大な差を生み出す!
利回りを計算:Excelを使って確定拠出年金や投資信託の複利を計算してみよう
Excelを使って複利硬貨を検証してみましょう。
利回りは年単位で記載されることが多いですが、掛け金は毎月支払うことが多いです。
そのため、年間利回りを月単位に換算する必要があります。
計算式は意外と簡単
毎月の積立金は3,000円。
年間利回りを5.0%とします。
運用期間は30年(360カ月)です。

1カ月ごとに積立額と金利を含めた合計額を出しています。
毎月の積立額は3,000円なので、ずっと3,000円で固定です。
元金合計額は毎月の3,000円を足していった金額です。
利回りは月に直していますので、5%÷12カ月 = 0.41666・・・% ≒ 0.42%となります。
合計額は、利回りを含めた金額ですね。
前の月の合計額に金利を掛けて、その月の積立額を足します。
例えば、3月目は次のようになります。
6,013円 × ( 1 + 0.42% ) + 3,000円 = 9,038円
これを360月目まで同じように計算すると、複利効果の運用益を見ることができます。
FX関数(フューチャーバリュー関数)
ちなみにExcelにはFV関数という複利計算に便利な関数があります。
= FV ( 利回り, 運用期間, -積立額, [現在価値], [支払期日] )
この関数で簡単に複利を含めたの計算ができてしまいます。
上の例でいくと、次のように代入するだけで計算できてしまいます。
30年間の運用合計額 = FV( 5%/12カ月, 360カ月, -3,000円)
関連記事:持ち家は「負債」!? 車も「負債」!?
利回りを計算:確定拠出年金のおすすめ商品で検証してみる
長期運用の基本と絶対的なルールは次の2つです。
- 手数料が低い商品を選ぶ
- 世界へ分散させる
この条件で、ほとんど文句のつけようのない商品が”eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)“になります。
良い具合に分散されていて、とにかく手数料がめちゃくちゃ安いです。
信託報酬は0.219%, 実質コストは0.278%となります。(2019年1月現在)
投資先は以下のようになり、うまいこと分散されています。

強いて言うなら”金”のような安全資産を入れても良いのかなと思ったりしています。
そして、2017年5月に設立されてから5.1%の運用利回りとなっています。
さて、それでは運用利回り5.0%、運用手数料0.278%という情報から、運用結果をシミュレーションしてみたいと思います。
毎月の積立額は10,000円とします。
FV関数を使い、結果はこんな感じになりました。

倍以上の差になっていますね。
平均利回り5%は、極端に高いわけではなく、投資の世界では一般的な利回りになります。
そのため、この結果も妥当な結果と言えるでしょう。
企業型確定拠出年金では、この商品を取り扱っていないと選べないのですが、個人型(iDeCo)ではSBI証券、マネックス証券、松井証券で取り扱っています。
私は企業型に半強制加入させられており、この商品が選べません。
選べる人が少しうらやましいです。
確定拠出年金は、サラリーマンができる大きな節税の1つになりますので、やらない理由はあまりないかなと思っています。
貯金の倍以上の差がつきますからね。
けっこうインパクトは大きいです。
関連記事:財形貯蓄と確定拠出年金の違い
さいごに:確定拠出年金や投資信託の運用利回りをExcelで計算してみよう!
自分の手を動かすと格段に理解が深まります。
20歳の方は、60歳までの40年間の確定拠出年金や投資信託の運用利回りを計算してみましょう。
40歳の方は60歳までの20年間です。
自分の年齢に当てはめて計算してみると、検証にも身が入ると思います。
毎月3,000円程度の掛け金でも運用年数が長くなるとバカにならない差になります。
そのため、投資を始めるなら早ければ早いほうが良いです。
いきなり成功することもないので、勉強期間を含めても、早く始めるにこしたことはありません。