マネースクエアと外為オンラインで特許訴訟が行われています。
マネースクエアが提供する『トラリピ』に対して、外為オンラインの『iサイクル注文』が特許侵害をしているという訴訟になります。
判決は特許庁に任せるとして、この特許の中身について思うことを書いていきたいと思います。
- 特許出願のポイントは『新規性』と『進捗性』
- 特許の検索方法
- 特許でもっとも大事な項目は『請求項1』
- 【発明が解決しようとする課題】を読めば、特許の中身がだいたいわかる
- iサイクル注文の差し止めは難しいのではないか
結論:iサイクル注文の差し止めは難しいのではないか。
Contents
特許出願のポイントは『新規性』と『進捗性』
特許出願のポイントは、『新規性』と『進捗性』になります。
- 新規性
- 進捗性
新規性は、”今までにないもの“であることです。
進捗性は、”従来の製品より進化しているもの“であることになります。
開発系の仕事をしていて、特許出願件数が成果になる方は覚えておきましょう。
そして、売れる商品を作るための仕事と特許を取るために行う仕事は必ずしも一致しないことがあります。
本質的ではありませんが、特許を取りやすい仕事というのもあります。
進捗性に注目して特許出願を目指す方が圧倒的に簡単です。
従来の特許を読み漁り、少し手を加えていけば、簡単に特許出願ができてしまいます。
特許出願数が成果になる場合は、特許出願を頭に置いて検討を進めることも大事です。
大企業という組織を生き抜くためのちょっとした知恵ですね。
時間内に効率よく仕事をすることも大切ですから。
特許出願のポイントは、『新規性』と『進捗性』
特許の検索方法
『特許情報プラットフォーム』で検索することで特許内容をみることができます。
例えば、トラリピの特許の1つである以下の特許は特許第4445006号となっています。
「トラップリピートイフダン®(トラリピ®)」注文
特許番号:特許第4445006号
そこで、検索画面で以下のように検索すれば、この特許の中身を見ることができます。

特許の文章は、基本的にものすごく読みにくいです。
読み解くためには、ちょっとしたコツが必要です。
トラリピ訴訟とは少し逸れますが、特許を読み解くコツを紹介していきます。
特許でもっとも大事な項目は『請求項1』
特許でもっとも大事な項目は、”特許請求の範囲”の”請求項1”になります。
特許の文献中では、以下のように出てきます。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
著作権の問題もあるので、ここではトラリピの請求項を転載することはできませんが、ここに特許のキモが書かれています。
しかし、非常に読みにくいです。
実際に”特許第4445006号”の請求項1を読んでいただけるわかりますが、とても読みにくいです。
ネタツイートを見つけましたが、本当にこんな感じです。
【発明の名称】半身浴装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト、または人に類する大きさのものが右半身または左半身のみを半身浴する場合において、
ヒトまたはそれに類するものを上記半身浴が可能なように支持する装置と、
適切な温度の水を給水する装置と、
を備えることを特徴とする浴槽。— Nobuyoshi Sato (@7n2jju) August 4, 2015
これが、請求項では永遠に続いていきます。
しかし、【請求項1】はもっとも重要な項目です。
そのため、多少わかりにくくても何度も読み返して、理解するようにしましょう。
請求項2以降は、まずは置いておきましょう。
【発明が解決しようとする課題】を読めば、特許の中身がだいたいわかる
【請求項】は非常に読みにくいですが、【発明が解決しようとする課題】はとても読みやすいです。
そして、【発明が解決しようとする課題】は『新規性』、『進捗性』の部分で非常に重要な部分になります。
この課題を解決することが、その特許のテーマとなるので、ここを十分に読んで、解決が必要な課題について理解することが大切です。
トラリピでは、通常のイフダンオーダーでは売買タイミングを逃したり、オーダーが集中した場合、注文が機能せず顧客が損をする可能性を課題としています。
この課題を解決する方法が、【請求項1】に書かれているわけです。
つまり、【発明が解決しようとする課題】→【請求項1】の順番で読むと理解しやすいです。
iサイクル注文の差し止めは難しいのではないか
この記事内でも書きましたが、『進捗性』の部分はどうとでもなるものです。
iサイクル注文では、基本的な自動売買の機能はトラリピと同じですが、レンジ幅を自動的に調整する機能がついています。
もし、この機能が『進捗性』と認められなくても、他にもちょっとした機能を追加していけば、そのうち特許侵害から逃れることができると考えられます。
長い目で見た場合、iサイクル注文が特許侵害で完全にサービス停止となる可能性は低いでしょう。
ただ、判断を下すのは特許庁であるため、可能性が0とは言い切れません。
そのため、リスク回避のために、トラリピ、iサイクル注文とどちらでも運用するのも選択肢の1つになるかと思います。
資金を分ける手間はありますが、投資で大切な分散投資になります。
さいごに:顧客としては競争がもたらすメリットに期待したい
特許でサービスをガチガチに守ってしまうと、企業同士で競争することができなくなります。
そのため、手数料などが高いままになってしまったり、特許を持つ企業が非常に強くなってしまったりしてしまいます。
企業としては、新しい発明に多額の費用を費やしているので利益をいただくのは当たり前だと思っていることでしょう。
しかし、顧客としては、どんどん企業同士で競争をしてもらい、より使いやすいサービスに進化させていって欲しいと思うところです。
この訴訟の影響かわかりませんが、トラリピの手数料は他社より非常に高かったのですが、2018年に手数料を大きく下げてくれました。
必ずしも価格競争が良いとは思いませんが、多少の競争は必要だと思います。
そのため、特許を守ることより、新しいサービスを作ることに力を入れて欲しいと思うところです。
あのライト兄弟も飛行機の特許訴訟で、晩年は新たな技術を生み出せず、裁判ばかりに時間を取られてしまっていたようです。
何が本質かということでしょう。