トラリピはシンプルなシステムであるため、過去のデータから利益と必要資金を簡単にシミュレーションすることができます。
どのような設定にすれば、どれくらいの利益を得ることができたのか?どのれくらいの自己資金を用意すれば良いのか?などを簡単に確認することができます。
今回の記事では、豪ドル/円の過去5年間のチャートを使い、必要な自己資金と稼ぐことができた利益についてまとめていきます。
また、2019年の豪ドル/円の動きを考察してみたいと思います。
- 過去5年間のチャートから利益と口座内資金を検証!
- AUD/JPYで利益を最大にする利益幅を検証!
- 最適なトラリピ設定【豪ドル/円】!
- 豪ドル/円の今後の動向:2019年度版
Contents
トラリピ設定:豪ドル/円の過去チャートから口座内資金の推移を検証
トラリピ設定では、次の項目を設定する必要があります。
- 仕掛けるレンジ幅
- レンジ内に仕掛ける本数
- 1本あたり何通貨 (トラリピでは基本0.1万通貨)
- 1回のリピートでねらう利益(利益幅)
これらの設定を決めてさえしまれば、過去のチャートからおおよその口座内資金の推移を出すことができます。
それでは、さっそく豪ドル/円のシミュレーション結果を見て行きましょう!
まずは、シミュレーションの条件は次のようになります。

- 期間:2014年1月1日~2018年10月15日
- 使用足:日足
- 通貨単位:0.1万通貨
- 戦略:ハーフ&ハーフ
- 上レンジ:87.5 ~ 105.0円 (トラップ本数 : 100)
- 下レンジ:70.0 ~ 87.5円 (トラップ本数 : 100)
ここで問題となるのが利益幅です。
利益幅は、設定を間違えると大きく利益を減らしてしまいます。

さて、この条件では、利益幅を0.90円にすると累計利益が最大になります。
利益幅が0.90円以上でも以下でも、得られる利益が下がるシミュレーション結果となっています。
それでは、利益を最大にするために利益幅を0.90円にした時の口座内資金の推移を見てみます。

運用開始直後は、利益が十分に積みあがっていないこともあり、一時的に口座内残高がマイナスになっています。
この時、最低でも76万円の資金が口座内にないとロスカットとなってしまいます。

最初の3年間ほどをロスカットされずに耐え抜くことができれば、その後は利益も積み重なり、ロスカットの期間も極端に低くなります。
今回の設定では、ロスカットさえされなければ、5年間で180万円の利益を稼ぐことができることがわかります。
豪ドル/円は、5年間で180万円稼げぐことができた!
豪ドル/円の最適なトラリピ設定
過去5年間の結果から、必要な資金と稼げる金額がわかりました。
もちろん資金は余裕が合った方が良いですが、最低必要資金を知っておくことも大切です。
もし、この先5年間同じレンジ幅で値動きが起こるとすれば、この資金で同じような利益を稼ぐことができるはずです。
それでは、その豪ドル/円の最適なトラリピ設定を示します。

シミュレーションでは、決済トレールを使わないシンプルな条件で行いました。
決済トレールのトリガー価格は20pipsと決められていますので、最適な利益幅の0.90円から0.70円に変更しています。
また、ロスカットは行わない戦略ですので、ロスカットの設定はなしです。
最低入金額は35万円として、もしものために追加で投入できる資金は用意しておきましょう。
もしそれまでに利益を積み重ねることができれば、追加資金はいらないかもしれません。
この設定では、5年間で180万円の利益が目標になります。
目標は、5年間で180万円の利益!
豪ドル/円の今後の動向:2019年度版
トラリピでは、自分の資金力でロスカットされないレンジ幅を想定することがもっとも重要になります。
想定レンジ幅以上に価格が動いてしまった場合、強制ロスカットにより資産を失ってしまう可能性あります。
>> ロスカットと口座維持率:口座状況で見るべき唯一のポイント!
そこで、価格変動によりロスカットされないために、2019年度の豪ドル/円の今後の動向を予測してみたいと思います。
予測が外れる可能性もありますが、価格幅を事前に想定しておくことは非常に大切です。
もし、想定外の方向に動いた場合の対応策も事前に考えておきましょう。
さて、通常、通貨の価格は『需要』と『供給』で決まります。
その国がどんな状況であれ、需要があれば価格は上がり、需要がなければ価格は下がります。
しかし、通貨の需要は、様々な経済的な要因が絡みあって決まるため、考え過ぎると良くわからなくなることが多いです。
そこで、今後の動向を考えるために、通貨は『国の信用』によって成り立つという部分に注目します。
>> 貨幣の「新」世界史:『お金』の歴史を生物の成り立ちから解き明かす
国債の金利は、国家の信用によって決まります。
そのため、シンプルイズベストということで、今回は金利と価格にだけ注目することにします。
代表的な国債10年の利回りと価格の変動に注目して、今後の動きを考えてみます。
チャートには、2000年以降の経済の大きな事件を記載しました。
経済の大事件で金利がどう動き、価格がどう動いたのかを見ていきましょう!
青線・・・オーストラリア国債10年の金利
オレンジ線・・・日本国債10年の金利

アメリカ同時多発テロ
2001年9月11日にアメリカ同時多発テロが発生しました。
この時、一時的に急激なドル安が進みましたが、テロのような事件の場合、影響は一時的なものとなります。
日本国債10年の金利は、この頃から非常に低いため、リスクオフの動きで豪ドル/円はどんどん上昇していきます。
豪ドルは、NZドルとほぼ同じような動きをしています。
地勢的にも政治的にも似たような同じ国ですので、NZドルの変動も参考にしてみると良いです。
>> 【NZドル/円】トラリピの利益検証と今後の動向:2019年度版
サブプライムローン問題・リーマンショック
2007年夏頃にサブプライムローン問題をきっかけに円高が進みます。
日本国債の金利が低いことから、日本の信用が高く、円の信用が高いということがわかります。
そのため、有事の際は、円が買われ、円高に進むわけです。
この時、AUD/JPYは、わずか1年で50円の下落が起こっています。
オーストラリア国債10年の金利も急激に下がっていますが、それ以上に円買いが進んでいます。
“有事の際の円買い”という言葉があるように、何か事件があったときは、皆が円を買うため、円の動きが非常に大きくなります。
豪ドルは、リスクオンの場面で買われる通貨になるため、リーマンショックなどの事件が起こるとリスクオフの流れとなり売られます。
欧州債務危機
2010年にギリシャの債務隠しなどがあり、ユーロ圏の財務危機が発生します。
この時期から、オーストラリア国債10年の金利がじょじょに下がりますが、2012年から豪ドル/円の価格が上がっていきます。
2012年に日本が金融緩和政策を強化したことにより、円安方向に進み、豪ドルも買われたためです。
FRB量的緩和政策の終了
2014年10月にFRBが量的緩和政策の終了を決めました。
この時期から、日本国債10年の金利はマイナスとなっていきます。
オーストラリア国債10年の金利は、2014年から2.5%程度を推移しています。
豪ドル/円も金利とどうようの動きを示し、80-90円の間を推移しています。
さて、この状況を見て、2019年はNZD/JPYはどのように動いていのでしょうか?
AUD/JPY : 2019年の動向の予測
2019年1月現在、AUD/JPYは80円付近を推移しています。
また、オーストラリア国債10年とほぼ同じ動きをしています。
そこで、オーストラリアの政策金利に注目です。
オーストラリアの政策金利は、当面据え置かれる見通しです。
つまり、金利だけを見た場合、AUD/JPYは2019年も80-90円付近を推移するのではないかと考えられます。
しかし、輸出入の大部分を中国に依存しているため、米中貿易戦争の影響を大きく受ける可能性があります。
そのため、AUD/JPYは今より下落していく可能性が高いと考えられます。
70-85円程度が妥当ではないかと予想されます。
さいごに:トラリピ設定【豪ドル/円編】
トラリピは、レンジ幅さえ変わらなければ、シンプルにシミュレーションを行うことができます。
トラップ本数や利益幅などで多少結果は変わってきますが、値が大きく変わることはありません。
トラリピ設定で、もっとも注意したい点は、利益幅を小さくし過ぎてしまうと、利益が極端に少なくなってしまうという点です。
今回は、豪ドル/円で検証を行いましたが、今後は他の通貨ペアでも随時検証していきたいと思います。
ぜひ、参考にしてみてください。