FXを始めた頃、テクニカル指標は非常に魅力的に見えた。
チャート上に描かれるカラフルな曲線や棒グラフは、売買の適切なタイミングを完璧に映し出していた。
少なくとも初心者の私の眼にはそう映った。
しかし、年数を重ねる毎に、テクニカル指標への信用はどんどん失っていった。
今回の記事では、私がFX取引でテクニカル指標を使わなくなった理由について書いてみたいと思う。
テクニカル指標は”勝てそう”な気にさせてくれる
テクニカル指標は、過去のチャートに表示されることがほとんどだ。
そして、例えば移動平均線のゴールデンクロスやデッドクロスといった場所で売買をすれば、ほぼ間違いなく勝てるように見えるはずだ。
実際にこれは間違いではなく、その時にそのタイミングで適切に売買を出来ていたら勝てるのだと思う。
しかし、リアルタイムで見ていると、価格の上下に伴い移動平均線がクロスしそうでしなかったりを行ったり来たりすることがしょっちゅうである。
一度クロスしたにも関わらず、ローソク足が完成してみれば、まったくクロスしていなかったということも良くある。
つまり、ローソク足が完成するまで指標によるサインが完成しないということだ。
これは、サインが完成するには、ローソク足が一本出来上がるまで待たなければいけないということになる。
また、ローソク足が完成してもサインがはっきりとわからない場合もあり、さらに一、二本のローソク足の完成を待つ必要があることもある。
こんな風に、テクニカル指標により取引をする場合は、サイン完成までしっかりと待たなければならない。
しかし、サインが完成するころには、すでに売買タイミングを逸してしまっている可能性も高い。
胃をキリキリさせて待ったにも関わらず、時すでに遅しというパターンが非常に多い。
ただ、人々はポジポジ病という先天性の病気を持っており、サインの完成前につい相場にエントリーしてしまうこともあれば、サインの完成後しばらく経ってから不利な条件でエントリーしてしまうこともある。
これが、FX相場では9割以上の人間が負けてしまうという結果をもたらすのだと思う。
過去チャートからは、リアルタイムでの苦悩を見ることができず、非常に魅力的なエントリータイミングを示すテクニカル指標が表示されるのみなのである。
とりあえず、思い浮かぶいくつかの指標を羅列してみたが、どれも内容は違えど取引に対しては似たようなものである。
- 移動平均線
- MACD
- ボリンジャーバンド
- RSI
- ATR
- etc.
ここで、個人的な意見を書いておく。
テクニカル指標では勝てない。
まあ、取引スタイルは人それぞれなので、そんなことはない!という方もいらっしゃると思うが、上記のものが現在の自分の意見である。
MetaTrader4のシミュレーションツールで検証
人の意見はあてにならないという方は、一度MetaTrader4のシミュレーションツールを使ってみると良いと思う。
MetaTrader4は無料で入手可能で、様々なチャートを表示させることができ、様々なインジケーターを表示させられる。
使いこなせれば、シミュレーションもできる。
売買ルールをプログラムで書き、過去チャートを使ってシミュレーションすることができる。
もう忘れてしまったが、だいぶ前にプログラムを書いてシミュレーションを行っていた。
しかし、どうにも勝てる取引ルールが見つからなかった。
シミュレーションツールを使っていて面白かったのが、移動平均線のゴールデンクロス、デッドクロスや一般的なMACDでの売買タイミングなど、デフォルトで入っているプログラムを使っても勝てるパラメータが見つからなということだ。
久々に思い出して、簡単にシミュレーションを行ってみたが、当時と同じような結果だった。
適当に条件を入れて、シミュレーションを走らせることができるので、時間があるときにぜひやってみて欲しい。
ちなみに以下のような画面でプログラムを選び、タブの中のパラメータでパラメータをいじることができる。

デフォルトのMACDのプログラムで適当にパラメータをいじってシミュレーションを走らせてみた結果が下の画像である。

こんな風に、まあ勝てない。
昔は、色々な条件で色々と試してみたが、ほとんど勝てるパターンが見つからなかった。
唯一勝てたのは、10年に1回売買タイミングがあるかどうかのパラメータだったような気がする。
テクニカル指標は考案者の作品
ボリンジャーバンドは、ボリンジャーさん。
MACDはアペルさん。
テクニカル指標は、誰かの考えによって作成されたものになる。
矢口新先生の『矢口新の短期トレード教室』を読むと、色々なテクニカル指標が酷評されていて面白い。
ここでの問題は、誰が作ったかではなく、過去チャートから作られたということだ。
私が読まなければいけないのは、この先のチャートであり、過去チャートではない。
もちろん、過去の歴史を学ぶことは大事だと思うが、シミュレーションで勝てない時点で未来の結果は見えている。
ある時のある期間では勝てたのだろうが、ずっと勝ち続けるという意味では、テクニカル指標は役に立たないだろう。
大事なことは、リスクが低く、リターンが高い場所を見つけることだ。
テクニカル指標は遅い
テクニカル指標は遅行指数というのは、色々な本を読めば、どこかに書いてある。
論理的に考えても、ローソク足の完成を経てテクニカル指標が完成するので、遅行指数というのは間違っていない。
遅いということは、相場の世界では致命傷だと思う。
特にスキャルピングを行う場合は、遅いというだけで、すでに負けている。
FXで勝つポイントは、先回りをしつつだが、リスクが小さいポイントでエントリーすること。
テクニカル指標の完成を待つ人は、ローソク足の完成で判断する人には絶対に勝てない。
現に、テクニカル指標で取引して、まったく勝てなかった私が言うのだから実績はある。
テクニカル指標でしばらく取引をして、売買タイミングがずれるな~と感じれば、それはそれで成長だと思う。
なんかずれるのである。
プライスアクション理論に落ち着いた
まだ正解かどうかはわからないが、プライスアクション理論に落ち着いた。
特に、『プライスアクション短期売買法』という本が良かった。
他にも、ボブ・ボルマンさんの本やローソク足の本を読んだが、どれも参考になる本だった。
上記の『プライスアクション短期売買法』では、価値領域と超過価格という表現が出てくる。
これに加えて、長期筋の動きと短期筋の動きを学ぶと比較的期待値の高い場所でエントリーすることができるようになる。
本を読むと、適当にこんな感じで価値領域を自分で表現することができるようになる。

あとは、この価値領域からはみ出た、超過価格の部分でエントリータイミングを狙う。

この方法でだいぶ勝率が上がったように思う。

今年の6月なんて、エントリーして全部プラスで利益を得ることができた。
胃がキリキリする場面も度々あったが、結果として勝ててるのは非常に大きい。
ちなみに、売買方法が定まっていなかった5月の結果はこんな感じである。

手数が多く、勝ちも負けも多い。
結果としては、ほぼプラマイゼロだったが、迷いを感じるトレードだ。
もちろん胃はキリキリする。
胃をキリキリさせるなら、できれば勝ちたいものだ。
幸いにも6月は勝ち越せたので、まずはこの手法を中心にさらに精度を上げていきたい。
この勝ちが長く続くかはわからないが、安定して勝率を保つことができそうであれば、ロットを増やしていきたいと思っている。
実際、この取引で使用しているのは、自分で引いた直線とローソク足だけだ。
これで十分なのである。
確実に勝てる指標なんて存在しないのだから、これで良いのである。